世界の終りとアンダーグラウンド
村上春樹の「1Q84」が図書館で60人(!)待ちでした。
なので「アンダー・グラウンド」と「世界の終り…」を借りてきました。
「アンダー・グラウンド」
友人からいいと聞いていました。地下鉄サリン事件のルポです。
60人の証言からなる60通りの目から通した事件の全容で、非常に読みやすくわかりやすいです。さすがに文章力のある村上春樹が書くと違いますね。
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」
現実世界とファンタジーが交互に書かれていますが、もともとファンタジーの方の話が先にあり、「世界とその不確かな壁」という中編で「文学界」に掲載されたそうです。
こういう童話的ファンタジーも別の一面として書けば読者はいると思うのですが、村上春樹氏はこの話を多くの読者に読ませるために「まったく異なった二つの話を並行して進めて最後にひとつにしちゃえばいいと思いついた」そうです。つまり、ファンタジーを読ませるために従来の自分らしい話と混ぜたということですね。
こういうメジャー感覚を持っているからこそいまだに第一線で活躍されているのでしょう。
事実思惑通りに私も二つの話がどうリンクするのか気になって読み進めました。
脳内の無意識の世界がファンタジーの世界で、逃避行の果てに主人公はいずれ自閉してその世界しか認識できなくなるという結末は色々解釈できると思います。
しかしまあ、全然別の話なわけだからこじつけになりますね。
影と分断された男は、とうとう影と一緒になることはなかったという結末は氏はかなり迷われたようです。でもファンタジーだけを独立させて見るとそれしかあり得ないです。
ボルヘスの「影をなくした男」でも影をなくした男は元に戻ることはできませんでした。。影を失うということは死の世界へ片足踏み込んだアレゴリーなのでしょう。
話を並行させるテクニックはカート・ヴォネガットJrの「スローターハウス5」でも使っていました。あれもSFと現実の同時進行で、本来伝えたいのは現実のドレスデン爆撃でした。
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